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I Want To Check The Shape Of Tree 2023-

家にいる時間が増え、インターネットや本を中心に写真を目にすることが多くなった

そこに写っているのは、山や川などの自然の風景や人で溢れた都市、見慣れぬ外国の広大な風景であるが

相応の服装や撮影機材、その環境下で生き抜こうとする考え方を携えたその風景の撮影者自身の姿を見つけだすことも出来る

どのような人にとっても最も親密な『家の中』という場所で、外部の環境から受ける影響下で撮影された写真を見るという行為は、

『安全な場所から過去の風景を反復させる』という写真が持つ基本的な機能を改めて認識させるが

撮影者が図らずも与えてしまう詩性を取り込んだ、世界の断片でしかない『写真』を、環境が著しく異なった『家の中』から

眺めている時、果たして鑑賞者はその写真を介してどのような経験を得ることができるのか。 

人間はあらゆる知覚機能を使い、自身が置かれている空間を多角的に認識しているが

その機能の一部でしかない『視覚』のみを表出させる写真は、そこに映る本来の風景とは

もはや何の関係もないただのイメージなのかもしれない。

地理学者のイーフー・トゥアンは自身の著作『空間の経験』の中で

『人間は空間(外の世界)と場所(家の中)の両方を必要としている。人間の生活とは庇護と冒険のあいだの、また依存と自由の間の弁証法的な動きである』

と、人間が『外の世界』と『家の中』を往復する必然性について言及している。

私たちは写真を見ることで、どのように『外の世界(空間)』を経験し、『家の中(場所)』から関係を作りあげることができるだろうか。

その2つのイメージの隙間から本質を探り、人が世界を見つめる眼差しの先に何があるのかを問い直そうとしている。

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